planetscope blog

  • 2010-10-18

鉱物採集日記@秩父鉱山


  2010年9月11日に友人2名と共に秩父鉱山に鉱物採集に行った時の様子の写真です。
朝5時に起きて、産地まで電車+バスで行き、午前中は渦の沢で水晶や燐灰石をさがし、午後は出合から大黒にかけての河原で金属鉱物探しということになりました。


西武秩父線
↑土曜日だったので池袋から西武池袋線・秩父線・秩父鉄道と直通し1本で三峰口駅まで行く
 快速特急が出ているため、それを利用。
 向かい合いシート、トイレ付きとなかなか良くできた車両ですし、
 西武秩父以降はガラガラで1車両に自分たちだけだったので、こんな風にまったりと座ったりしてた笑

三峰口駅
↑三峰口駅のホーム 左がアリコーこと有川鴻哉さん、右がN氏


三峰口駅玄関
↑三峰口駅玄関の様子 関東の駅100銭に選ばれたらしい
 凄まじくまったりした駅ですw

バスからの滝沢ダムとループ橋
↑三峰口駅から乗ったバスで見た滝沢ダムとループ橋 
 以前にも秩父鉱山を訪れた際に見ていたが、やはりかなりの迫力!
 これだけ環境が壊されたということなのでしょう(><;)

中津川バス停前の様子
↑終点の中津川バス停で降りる ここの目の前に森林科学館があり、トイレや自販機も使える


渦の沢産地の様子
↑渦の沢の産地の様子 沢とは言うものの水は流れていない
 てか、パイプの中を流されていた。。。
 所々の窪みに水がたまっており、蚊が発生していて大変痒い採集になってしまった(泣)
 おまけにハチまで出動してきて追いかけまわされたし。。。
 
収穫は4mmの頭付き、白色ほぼ不透明燐灰石と5mm前後の水晶、磁鉄鉱主体の塊中に緑簾石の結晶で満たされた1.5cm位の晶洞(まるで長野県武石の「やきもち石」見たい笑)、あとは孔雀石の半球状集合で球の大きさは1mmくらいだが結構色が鮮やかで見ごたえのあるものがあった。磁鉄鉱の塊はそこらじゅうにきらきらと腐るほどあったが、塊はいらないので採集せず。 
 
渦の沢の坑口
↑渦の沢の坑口

渦の沢の水晶1
↑渦の沢の水晶 画像幅約8cm 長さ5mm以内の小さなものが密集しているこのような水晶が採れる。
 主に灰鉄輝石からなるスカルンの岩石の中に石英脈や石英による晶洞があり、
 そこで方解石を伴ってこのようなものが成長している。
 灰鉄輝石と水晶の境界には黄緑色の緑れん石が生成している。
 灰鉄輝石よりも緑簾石のほうが珪酸成分が多いためこのようになる。

渦の沢の水晶2
↑渦の沢の水晶 上の標本のアップ

渦の沢の緑れん石
↑画像幅約5cm磁鉄鉱を主体とする塊の中に晶洞があり、その中に1mm程度の緑れん石の結晶が成長している。
 微細ながら透明感のある黄緑色で、まるで長野県武石のヤキモチ石みたいw

渦の沢の燐灰石
↑渦の沢の燐灰石 画像幅約5cm 灰鉄輝石主体の岩石の中の不透明白色部分が燐灰石。
 自形結晶は水晶と同じ形の結晶になるが、頭付きで採集できるものの大きさは3,4mm程度がせいぜい。。。
 しかし友人の中には最近でも1cm近いしっかりとした頭付き結晶を採った人もいるので
 渦の沢はまだまだ見逃せない産地です!



その後、12時過ぎくらいに渦の沢から大黒に向けて徒歩で移動開始。到着まで約1時間半ってところだったかな。森の中の気持ちのいいウォーキングだったが、後で大量の疲れに変換されることとなる笑


出合の珪灰鉄鉱
↑出合の河原のところで降りてみて、見つけた珪灰鉄鉱
 ただし、丸っこくて一抱えもある岩の表面のため、全く歯が立たず採集できなかった。
 そのまま残してきたので誰か頑張ってください笑

秩父鉱山の珪灰鉄鉱はMnを結構な量含んでおり、そのうち独立種となるかもしれないとK標本店の社長さんが言ってました。やっぱ、この写真の石を採りたかったなぁ(´~`)


大黒河原の様子
↑出合からさらに上流へ道を行き、大黒隧道を抜けたところで河原へ下りる。
 水量は比較的少なめだったと思う。


大黒の黄鉄鉱&磁鉄鉱の塊
↑河原に落ちていた黄鉄鉱&磁鉄鉱の塊を割った様子。
 黒と金が綺麗な石だが、これも前回までの採集で十分とったため今回は持ち帰らず。
 磁鉄鉱は赤鉄鉱の仮晶になっている葉片状磁鉄鉱などもいくつか見られたが、
 大黒は全体的にいい石が減ってしまったなぁ。。。
 マンガン鉱物や閃亜鉛鉱はほとんど見当たらなかった。


それでも、水亜鉛銅鉱のついた閃亜鉛鉱の小さい塊や、ビンドハイム石のついた菱マンガン鉱が採れたので良しとしておきます。

福島屋
↑17時くらいの最後のバスに乗って三峰口駅に帰り、駅前の福島屋という蕎麦屋で食事。
 18時くらいなのに駅前がこの暗さっていうwww
 福島屋も店じまいしようとしていたところだったが、私たち3人が行ったところ
 ギリギリセーフで山菜そばが食べられた。
 ご飯とてんぷらの残り物をサービスで出してくれて本当においしかったなぁ。。。
 おばちゃん、ありがとうございました!

福島屋で山菜そばをいただく
↑店内の様子 古い日本家屋でとても雰囲気がいい店でした。
 採集で疲れていたのでこのまま宿泊したかった笑


その後、行きのルートと同じ電車で帰ると池袋に着いたのが10時過ぎくらいでした。いやぁ、けっこう疲れた。
渦の沢では斜面を上下右左何度も下りたり登ったり、虫に追いかけまわされて逃げ回ったりで体力を消費し、渦の沢→大黒のウォーキングもして、大黒の河原でもせわしなく石を探しまわり、結構な運動でしたが、まぁ、奥秩父の美しい森の中、手が金属鉱物臭くなりながらの鉱物採集は気持ちのいいものです、また行きたいです、と思えるあなたはかなりの鉱物マニアですよw
じつは、N氏の方はヒマだったから私に誘われてついてきただけで、鉱物趣味は特にないんですよね。それで初めての採集にこんなハードなところに連れて行ってしまったから、「面白かったけど、もう鉱物採集は遠慮しとくはw」とのことでした。
ごめんよ(^~^;)




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  • 2010-10-17

コロナド鉱 Coronadite


  コロナド鉱について


まずは、Taouz,Moroccoのコロナド鉱の画像から

コロナド鉱1
↑球状集合になったコロナド鉱

コロナド鉱2
↑球の断面には層状に積み重なった様子が見て取れる

コロナド鉱の裏側
↑上の標本の裏側 粉状の赤鉄鉱などからなる 触ると赤茶色の粉が手に着いてしまう


コロナド鉱はPb(Mn2+,Mn4+)8O16の組成を持ち、クリプトメレーングループの鉱物です。単斜晶系、硬度4.5~5。

1903年発見の鉱物で、名称はFrancisco Vasquez de Coronadoというスペインのアメリカ南西部の探検者に由来するという記述と、原産地のアリゾナにあるコロナド鉱山に由来するという記述の2通りがありました。「コロナド鉱山」の名称の由来が「コロナド」という人物に由来し、そこで産出した新鉱物がコロナド鉱と名付けられた、ということなのでしょうかね?まぁ、名称の問題は本記事の主題とは外れるのでこのくらいにしときます。
コロナド鉱は日本では北海道上ノ国町にある上国鉱山で産出が確認されています。

コロナド鉱が属するクリプトメレーングループには以下のような鉱物があります。ちなみに、クリプトメレーンは「クリプトメレン」「クリプトメレン鉱」等の複数の和名表記がありますがどれでも問題ないでしょう。
・クリプトメレーン(cryptomelane) K(Mn4+,Mn2+)8O16
・アンカン石(ankangite)      Ba(Ti,V3+,Cr3+)8O16
・ホランド鉱(hollandite)      Ba(Mn4+,Mn2+)8O16
・万次郎鉱(manjiroite)      (Na,K)(Mn4+,Mn2+)8O16・nH2O
・マンナード鉱(mannardite)       Ba(Ti,V3+,Cr)O16
・プリデル石(priderite)        (K,Ba)(Ti,Fe3+)8O16
・レッドレッジ鉱(redledgeite)     BaTi6Cr(+2)3O16・H2O
・ストロンチオメレン(strontiomelane) SrMn(+6)4Mn(+2)3O16
・轟石(todorokite)           (Mn,Ca,Mg)Mn4O7・H2O 
いずれも二酸化マンガンのような黒っぽい鉱物で格段に美しいと言えるようなものではありませんが、球状の集合などの造形美で楽しめるものが出ることはあります。ただ、肉眼鑑定では球状集合などの特異な形になっていない限り、二酸化マンガン鉱物と区別するのは難しいものが多いです。


ところで、Taouz,Moroccoというと化石の標本が数多く産しますし、鉱物標本では赤鉄鉱Hematiteの腎臓状集合が有名なところです。

腎臓状赤鉄鉱1
↑腎臓状とは良く名づけたものだ、と思う。テカテカと黒光りする様子は標本棚の中でも独特の存在感がある。

腎臓状赤鉄鉱2
↑上の標本の裏側 こちらもコロナド鉱同様、断面には層状に積み重なった様子が見える。



ネットでTaouz,Moroccoで検索するとかなり広大な砂漠地帯の地図が出てくることから、このコロナド鉱と赤鉄鉱が近苦で採れたものだという可能性は低いでしょう。しかし、同じように球状集合しているということは何か関係がありそうです。
このコロナド鉱はK標本店で購入したもので、ラベルにはK先生の短い解説文が付いています。それによると、「二次鉱物と言うよりも初生的に鉛(Ⅱ)イオンやマンガン(Ⅳ)イオンを含む化合物を輸送する溶液から空隙中で沈殿したものと考えられ、その形態の形成には明らかに重力の影響がある。年輪様の構造の発達には成分変化に由来する」とあります。
おそらく、今回紹介したコロナド鉱も赤鉄鉱も、比較的低温の熱水からゆっくりと沈殿するようにして晶出したのでしょう。高温の熱水なら菱マンガン鉱などのもっと還元的な鉱物になると思われます。松原先生の『フィールドベスト図鑑 日本の鉱物』によれば、コロナド鉱の属するクリプトメレーングループの鉱物も同じように球状集合を示したり(クリプトメレーン)、海底の熱水活動で層状に沈殿していたり(轟石)、という事が確認されています。

それにしても、こんなに滑らかに、赤鉄鉱では金属光沢を帯びるまでに、ツルツルとした球状集合になるのも不思議なものですね。Taouzのコロナド鉱標本は、お金を出せば球がにょきにょきと連鎖的にいくつも連なっている面白い形の標本もあります。まぁ、形がいくら良くても色が色ですから「美しい」とは言い難いのでそこまでお金を出す気にはならず、コロナド鉱の標本はこの程度のものにしておきました(笑)

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Author:てるてる
沢田 輝
(@Hikaru_Sawada @IWKRterter)
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東京大学広域科学専攻D2(駒場キャンパス)
博士課程より、東京工業大学地球惑星科学専攻から移籍しました。
地球惑星科学のなかでも、大陸地殻の成長と進化などといったテーマの地質学・地球化学あたりの研究をしてます。

中学から鉱物コレクションをはじめて早くも15年くらい、鉱物学から地球科学全体へ興味が広がっていって今こうなってしまったという感じの院生です。
石の話や、大学の話、学問とか関係ない雑記も適当に書いていきます。

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