planetscope blog

  • 2013-11-05

鉱物産地ができるまで


  20年近く前から、鉱物趣味の人口が広がっているという話があちらこちらで出ているようだが、
最近はSNSの進歩もあってとにかくたくさんの「鉱物採集初心者」を目にするようになっている。
「実際に自分で山に行って鉱物採集をしてみたい!!」という言葉を数限りなくいろいろなところで耳にし目にする。

現在のところ、基本的で初歩的な鉱物採集をするための産地情報というのは、かなり文献が充実しているように思える。
自分も鉱物産地情報が載っている文献のリストを作ったことがあるが(リンク参照1,2)、古いものはもはや
絶産したものや立入禁止のものも多いが、2010年辺りから松原先生をはじめとした記載鉱物学の研究者による多くの書籍が出回っている。
初心者にはこれらの情報でも十分に楽しめるだろう。

一方、世の中にはハイアマチュアなどと呼ばれるような人達がいる。
鉱物コレクション歴が30年を越える、ものすごくアクティブな人たちである。
彼らは現在になっても国内で新産地を次々と開拓し、素晴らしい国産鉱物標本を見出している。
そういった新産地はアテも無く山をふらついていれば見つかるようなものではもちろん無く、
情報源として、鉱床学などの記載を行っている学術論文を見たり、
地質図から算出する鉱物を予測して産地を探すということをして見たり、といったことはもちろんだが、
戦前~高度経済成長期の日本国内の鉱山が現役だった時代にまとめられた記載誌のような文献、
あるいは地元の役場に赴いて行政資料を閲覧したり、歴史記録に残る鉱山の情報から明治・江戸時代以前の
鉱山跡の位置を特定したりなどと、とても広い範囲から情報をコンパイルして活動している。
もちろん、情報の大半は完璧な鉱物産地の位置を指し示しているものなど殆ど無く、
類推から山の谷沿い尾根沿い、歩きまわり掘りまわりして、時には何十回も同じ山に通って通い詰めて、
ようやくのこと鉱物産地を見つけるのである。もちろん、いくら努力しても結局大したものは見つからず仕舞いということだってある。

ミネラルショーなどに出品される国産標本のうち、歴史的な古い標本は別であるが、
多くの鉱物標本はこうしてアマチュアの努力によって見出されたもののうち、その一部を出品し広く初心者にも供給されているのである。

鉱物産地情報が金銭にも標本そのものにも勝る価値を持つことがときどきあるが、
これは産地を広く知られて荒らされてしまうのを恐れていることももちろんあるものの、
こうした涙ぐましいまでの努力(もちろん当人たちは趣味で楽しんでいるのだが)による結果としての鉱物産地情報なので、
これから鉱物採集にどっぷりと使っていきたいと思っている初心者の方々には、ぜひともこの辺りの事情をご理解いただければと思う。

もちろん、自分で探求して鉱物産地を見つけることは誰にだってできる。
ただ人と同じような市場に出回っている美品な鉱物標本を集めるよりも、
自ら文献を漁り、山を駆け巡って新しい鉱物山地を開拓しようという方向に進むのも趣味として楽しいだろう。
コレクションのモノとしてはすぐには良い物は集まらないが、
決して素人には難しすぎて手が出ない趣味ではなく、努力すればいつか大きな運が巡ってくる可能性は低くないものである。
国内の鉱物産地はもはや徹底的に歩き回られていると言っても過言ではない状況なので、
むしろ意外な着眼点で探して意外なところから良品が出たり、時には新鉱物の発見につながることだってある。
最近の発見である千葉石や大阪石などはそういった経緯で見つかっているようなものである。
ぜひとも人とは違うことにトライしてみよう。
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Author:てるてる
沢田 輝
(@Hikaru_Sawada @IWKRterter)
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(館長のブログ)

東京大学広域科学専攻D2(駒場キャンパス)
博士課程より、東京工業大学地球惑星科学専攻から移籍しました。
地球惑星科学のなかでも、大陸地殻の成長と進化などといったテーマの地質学・地球化学あたりの研究をしてます。

中学から鉱物コレクションをはじめて早くも15年くらい、鉱物学から地球科学全体へ興味が広がっていって今こうなってしまったという感じの院生です。
石の話や、大学の話、学問とか関係ない雑記も適当に書いていきます。

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