- 2015-07-23
石の見た目なんてみんな同じ…? 火星と室戸岬
地球科学の研究してたり、鉱物愛好家してたりすると、「石なんてみんな一緒じゃん、何が楽しいの?」なんて心ない事を言われたりもしますよね。もちろん、一緒じゃないから研究しがいも愛好しがいもあるんですが、一周回ると逆に、一緒に見えることが面白くもなります。
海外調査でプレカンブリアンの石を採りに行って、さぞかし日本には無いような石があると思いきや、案外見た目に限って言えば、全部とは言わなくても、どこに行っても同じようなものが出てくるんですよね。太古代の石を見て、笑いながら「三波川みたいww」「広島の花崗岩もこんなもんww」なんて話してるくらいです。
そりゃあ時代や成因が全く変わっても、組成と温度圧力が同じなら同じような見た目の石になるんですが、どうもやっぱり出自の全く異なる石がそっくりな見た目をしていると、体感として不思議な気分になります。
さて、地球のプレカンブリアンよりもはるかに遠い、火星のお話で、Nature Geoscienceで""In situ evidence for continental crust on early Mars""という題の論文が出てました。
そこに長石リッチな火星の岩石の写真が出てましたが、これがもう、高知県室戸岬のハンレイ岩体にビックリするくらいにそっくりです。比較に画像2枚載せておきましたので、ご賞味下さい。


見た目はすごく似ていても、やっぱり室戸岬のちょこっと飛び出た小さなハンレイ岩体とは出自は異りまして、"we conclude that silica-rich magmatic rocks may constitute a significant fraction of ancient Martian crust and may be analogous to the earliest continental crust on Earth."だそうです。石の見た目なんて"どれも一緒"に見えても、とんでもなく出自は異なることもあります故、色々と研究しがいがあるというものです。
(追記)
下の段が室戸のハンレイ岩なのはともかく、上の段のよくわからないマクロ写真とか露頭写真とかのが石英閃緑岩っぽいとのことが書いてあって、地球科学的にはそっちの方が驚きですね。
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