- 2010-10-01
野外実習2@"カミオカンデ"
大学の実習について、の続きです。
前回の記事は1日目に行った野辺山宇宙電波観測所について書きましたが、今度は岐阜県神岡の地下1000mにある物理学研究施設、"カミオカンデ"の見学についてです。
"カミオカンデ"は小柴昌俊氏がノーベル物理学賞を受賞した研究施設として有名ですね。かつて操業していた神岡鉱山の坑道の跡地を利用して造られた施設だということも結構知られていることかと思います。
しかし、この神岡の地下にはいくつかの実験施設があり、また今後も様々なものが造られる計画があります。このことについて少し説明しましょう。
神岡の地下には東京大学宇宙線研究所付属神岡宇宙素粒子研究施設というものがあり、全国の大学・研究機関の共同利用施設であり、国公私立大学から、大学院生を含め多くの研究者がやってきています。この地下研究施設には多くの実験設備があります。
小柴氏がノーベル賞を受賞した実験は東大の「カミオカンデ」で行われたものです。カミオカンデはは3000トンの超純水を蓄えたタンクと、その壁面に設置した1000本の光電子増倍管(高感度の光センサー)からなり、タンクの水中を水の中での光の速さ以上の速さを持った物体が通過するときに出る光―チェレンコフ光―の様子をとらえることにより、タンクの中の水をどのような素粒子が通過したのか調べる装置です。この装置を用いて大マゼラン星雲でおきた超新星爆発 (SN 1987A) で生じたニュートリノを偶発的に世界で初めて検出したためにノーベル賞が受賞されました。
この「カミオカンデ」は現在は東大のものではなく東北大のものになり、名前も「カムランド」に変わりました。実験内容も水を使ったチェレンコフ光の観測ではなく、液体シンチレーターといって、プールの中を蛍光物質のようなもので満たし、その中へ高速で突入する宇宙や原子炉、地球内部から発せられる素粒子(特に反ニュートリノ)による光を観測しています。
東大のほうは、新しく「スーパーカミオカンデ」を造り、そちらで旧カミオカンデと同じような観測を続けています。スーパーカミオカンデは、50,000トンの超純水を蓄えたタンクと、その内部に設置した11,200本の光電子増倍管からなり、カミオカンデよりも性能が大幅に上がっています。
この他にも神岡の地下には、東大が進めるXMASS(液体キセノン(約-100℃)を用いてダークマターを直接探索)、重力波検出の研究、京大のNEWAGE(地球にふき付ける「暗黒物質の風」をとらえようとしている次世代型暗黒物質探索実験)、阪大のCANDLES(大量の蛍石を利用し、カルシウム48の二重ベータ崩壊の研究により、ニュートリノが粒子と反粒子が転換できるマヨラナ粒子であることを検証)等の実験が行われており、今後も新しい設備を作って神岡の地下で実験を進める計画があります。
それでは、そろそろ見学時の様子の写真を見てみましょう♪

↑坑内に入るためのバス これで1kmほど坑道を水平直線状に進むと研究施設がある

↑坑口の様子

↑坑内に到着 壁面には吹きつけ工事がされていて地下駐車場みたいw

↑カムランドへ向かう坑道内 この辺は岩肌がむき出しでいかにも鉱山らしかった
ちなみに岩石は変ハンレイ岩でした

↑カムランドへ入る一歩手前の部屋 計器保護のため一応防塵服を着る

↑カムランドの中
テレビで出てくる壁面に光電子増倍管がずらっと並ぶプールはこのましたにあるが、中の様子は見れない。
高感度だがら人間の目で見れるくらいの光が入ると壊れてしまうからね。。。

↑光電子増倍管の実物大模型

↑坑内には生活感あふれる場所も笑 研究員の中にはこの穴の中で壱日中過ごす人も沢山いるからね…

↑次はスーパーカミオカンデへ こちらも例によって中のプールは見れない。。。
カムランドに比べるとだいぶ広々としている。てか、こっちは防塵服着なくて良かったっていうw

↑スーパーカミオカンデの制御室 研究員の外人おばちゃんがモニターしてた
さて、次回の記事は新潟県糸魚川のフォッサマグナの地質観察についてです。
次の記事も観てくださいね~(・∀・)/
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