planetscope blog

  • 2010-10-03

野外実習3@糸魚川ジオパーク


  前回前々回と、大学の野外実習で行った野辺山宇宙電波観測所、"カミオカンデ"について書きましたが、今回は新潟県の西端、富山県との境にある「糸魚川ジオパーク」についてです。

ジオパークとは、「世界遺産の地球科学版」のようなもので、「地球科学的に見て重要な自然遺産を含む、自然に親しむための公園」とされています。しかし、ただ単に学術的に貴重な場所であるということではなく、
(1)地球科学者の力を借りて、地元の人たちが地形・地質を含む大地の遺産の価値と意味を自ら理解し保全する。
(2)子どもたち(特に地元の子どもたち)と一般の観光客に、大地の遺産の価値と意味を地元の人が自ら伝える。
(3)大地の遺産を楽しむジオツーリズムを推進し、地域の経済を持続的な形で活性化する。
といったように、地球科学の知識の普及を積極的に行っている地域でないといけません。

2004年にユネスコの支援により、世界ジオパークネットワーク (GGN) が発足し、ジオパークを審査して認証する仕組みが作り上げられました。ジオパークの活動は、ヨーロッパで始まり、ヨーロッパと中国に多くの GGN 加盟ジオパークがあります。北アメリカ大陸とアフリカ大陸には、今のところジオパークはありませんが今後普及していくと思います。

一方、糸魚川では国際的なジオパークが機能し始めるよりも先に1991年より活動が始まっており、観察ポイントには看板などが充実し、町のいたるところにそのようなポイントの案内が整備されています。活動の中心でもある「フォッサマグナミュージアム」は地球科学、特に鉱物学の博物館としてはとても充実しています。

ただ、個人的には人里離れた静かな山の中で石を楽しむのが地球科学のよさのひとつでもあると思っていたため、このように一般人にも「平たく」説明されて観光地化していくことは、少しさびしく思ってしまいました。まぁ、これで地球科学に興味を持つ人が増えて研究の進展に繋がり、困窮する地域を進行するための手段となるなら善しとしましょう。。。


さて、それはともかく今回の巡検の様子を見ていきましょう。
まずは、2日目、"カミオカンデ"見学の後にフォッサマグナミュージアムに行きました。


フォッサマグナミュージアム
↑フォッサマグナミュージアムの建物 
 それほど大きい博物館ではありませんが、中身は充実しています。
 やはりヒスイの展示は地元ですから桁違いですね。

フォッサマグナミュージアムの巨大ヒスイ
↑フォッサマグナ玄関前においてある巨大なヒスイ輝石岩の塊

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↑ミュージアムショップで販売されているガイドブック『よくわかるフォッサマグナとひすい』
 正直、この表紙デザインはミスだと思う(笑)
 なんでこんな、小学校の図書館にありそうな馬鹿っぽいデザインにしたんだろう。。。
 講義してくれた学芸員の方が薦めなかったら絶対手に取らなかったと思う。。。

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↑ところがどっこい、バカッぽいデザインの表紙とは対照的に中身は大変充実した書籍になってます!
 ヒスイの鉱物学的な分析、糸魚川やフォッサマグナ周辺の岩石や化石、
 ヒスイの歴史的な側面、ナウマンの功績などなど、それぞれ大変充実して内容で、
 さすが、2000円出して買うだけのことはあります!
 みなさんも、表紙の見た目に惑わされず、この本はお勧めですので訪館の際はぜひ! 

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↑ミュージアム内に張ってあったポスター
 ジオパークどんぶりとか、あまりにも必死すぎる地域振興に思わず笑ってしまったw
 まぁ、それだけ地方は厳しいということなんですかね。。。


そして、しないで一泊して翌日。まずは青海川河口近くにある電化の石灰岩採掘場の見学へ

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↑工場の様子 そこらじゅう配管やら煙突やら鉄さびやらで、
 自分を含む工場好きのメンバーは盛り上がりまくりでしたw 


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↑石灰岩の砕石現場 ここの石灰岩はサンゴの環礁によるもので、
 サンゴ化石はもちろんウミユリや貝類の化石も出るとのこと。


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↑休憩のために立ち寄ったきらら青海(青海町総合文化会館)
 建物前にある巨大なヒスイ輝石岩と引率の教授2名。 

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↑このヒスイ輝石岩は青色の糸魚川石を含んでいる。画像幅約40cm
 

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↑きらら青海の屋内には柘榴石角閃石片岩が展示してある


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↑休憩の後、バスで少し移動してそこから徒歩で30分ほど、橋立のヒスイ峡までハイキング
 道中の森には、胡桃(クルミ)の木がたくさんあり、
 これは縄文時代の人々が植えたものだと教授が解説してくれました。


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↑ヒスイの巨岩に乗る人々
 ヒスイ中の黒い脈の部分は石墨を含んでいる。ヒスイの中の石墨はなぜか球状になっているらしい。


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↑ヒスイ峡の様子 目の前の巨大な白い岩がヒスイ輝石を含む岩 
 表面は自然に研磨されてつるんつるんになっている。


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↑蛇紋岩の中にもヒスイ輝石のような脈があるがこれはロディン岩という岩石で
「キツネ石」(=ヒスイと間違えやすい石)の代表格だ…


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↑ロディン岩の標本 きれいだけどヒスイ輝石ではない。
 緑色の部分はオンファス輝石、ややピンクの部分は斜灰簾石(クリノゾイサイト)、
 白い部分はぶどう石や透輝石など。
 手で持ってみると、本物のヒスイ輝石はぜんぜん重たいことがわかる。(緻密で比重が大きい)
 

やはり、「ヒスイ」の鑑定は難しい。
最近の分析により、緑色の「ヒスイ輝石jadeite」というものは存在せず、たいていは緑色のものはオンファス輝石であるとのことです。「本物の緑色のヒスイ」と思われているものは白いヒスイ輝石と緑色のオンファス輝石が緻密な塊になっているといったところなのでしょうか。詳しいことは先ほど紹介したフォッサマグナミュージアムの本『よくわかるフォッサマグナとひすい』に書いてありますのでそちらを参考にしてください。
鉱物コレクターとしてはあまりひすいに深入りしない方がいい気もする笑 
ただ、地球科学の研究としては奥深いから面白いんですよね~。。。 



ヒスイ峡の見学の後は糸魚川静岡構造線を見に行きました。

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↑まぁ、美しいものではないが一応ここがプレート境界だし…
 しかし、糸魚川静岡構造線をプレート境界とする説には反対意見も多い。
 
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↑枕上溶岩も見学 これはフォッサマグナ内の年代の若いもの。
 



なんだかんだいろいろ見れて充実しました☆
そして、ハイキング中や観察中の教授のお話が面白かった!
やっぱ知識のある方とこういうとこに行くといいものですね。

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Author:てるてる
沢田 輝
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東京大学広域科学専攻D2(駒場キャンパス)
博士課程より、東京工業大学地球惑星科学専攻から移籍しました。
地球惑星科学のなかでも、大陸地殻の成長と進化などといったテーマの地質学・地球化学あたりの研究をしてます。

中学から鉱物コレクションをはじめて早くも15年くらい、鉱物学から地球科学全体へ興味が広がっていって今こうなってしまったという感じの院生です。
石の話や、大学の話、学問とか関係ない雑記も適当に書いていきます。

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