planetscope blog

  • 2010-11-15

三川鉱山での収穫


  追記 (2016年3月27日)

新潟県の三川鉱山は、松原聡先生の著書『鉱物観察ガイド (国立科学博物館叢書)』『鉱物ウォーキングガイド 関東甲信越版: 歩いて楽しい! 都内近郊の鉱物めぐり26地点』でも紹介されている有名産地でしたが、2016年3月、三川鉱山管理地の住民の方から、最近許可無く三川鉱山敷地内に立ち入っての盗掘やゴミの不法投棄が多くて困っているとのコメントを頂きました。
つきましては、三川鉱山は私有地であり、特別な許可がない限りは原則として立入禁止・鉱物採集禁止であるということを広く鉱物愛好家の皆様に周知させていただきます。

立入禁止・鉱物採集禁止の旨を周知するために、検索結果上位に乗りやすくするため、以下に2010年当時のブログ記事をそのままの形で当面保持します。


*************************************************************************************

10月30日、新潟県の三川鉱山へ鉱物採集に行きました。
三川鉱山は安山岩の活動に伴う熱水鉱床ですが、江戸時代あたりに金山として開発され、多くのズリが長年放置されているため、銅や鉛の二次鉱物が豊富に産出します。

今日は採集の成果の写真を紹介します。

◆銅の二次鉱物

炭酸青針銅鉱carbonate-Cyanotrichite
↑三川鉱山の名産品、炭酸青針銅鉱carbonate-Cyanotrichite!
 Cu4Al2(CO3,SO4)(OH)12・2H2O
 調査によると、この産地では青針銅鉱よりも炭酸青針銅鉱の方が多いという。
 しかし、この石の破片に希塩酸(サンポール洗剤)を垂らしてもほんの少ししか溶けなかった…
 比較的硫酸基が多いということなのだろうか。
 鮮やかなスカイブルーの針状結晶が放射状に集合しています。
 画像幅約5cm

炭酸青針銅鉱carbonate-Cyanotrichite2
↑上の炭酸青針銅鉱の標本のアップ 
 一部は球状集合の様子がそのままになっていて濃い色が見られるが、
 大半はそれが欠けて放射状になっている中身が見えている。

Azurite藍銅鉱
↑三川鉱山の次の名産品、藍銅鉱Azurite! Cu3(CO3)2(OH)2
 昔よりかなり減っているとベテランの方がおっしゃていましたが、
 平成育ちで「落穂ひろい」な鉱物採集をしてきた私にとっては
 ここには十分すぎるほど沢山の藍銅鉱があるように思います!
 この石は幅約11cm。母岩は熱水変質した岩石で、その隙間に菱鉄鉱(と思う)の茶色の小さな菱形結晶が成長し、
 さらにその上に藍銅鉱と孔雀石が成長している。孔雀石も藍銅鉱も放射状になっているが、
 孔雀石が微細な針状結晶の集合なのに対し、
 藍銅鉱は肉眼で結晶のわかるくらいの比較的粗粒な結晶になっている。
 この石は引き上げ間際に最後の気合でずり上部まで上がってギリギリにとった石です。
 労力が報われて嬉しかった(*´∀`*)

Azurite藍銅鉱2
↑上の写真の石の藍銅鉱部分のアップ

Azurite藍銅鉱3
↑小さい藍銅鉱たち 一部、青鉛鉱Linariteや青針銅鉱もある。1つの石で1cm前後
 このサイズのものはズリを少し掘って探せばたくさん見つかる♪
 ただし、ずり石が粘土にまみれているため気がつかないことも多い。。。
 現地では少し青い部分が付いているだけかと思っていても、
 家に持ち帰って洗ってみると粘土が落ち、思ってた以上に青い部分が多くてうれしくなることも笑 

Langiteラング石
↑ラング石Langite Cu4(SO4)(OH)6・2H2O
 青~青緑の皮膜。この光沢が特徴のようです。画像幅約5cm

Brochantiteブロシャン銅鉱
↑ブロシャン銅鉱Brochantite Cu4(SO4)(OH)6
 孔雀石よりも濃い目のグリーンが特徴。
 また、粗粒な結晶が見えればブロシャン銅鉱は孔雀石と違って透明感が確認できる。
 希塩酸があれば、孔雀石は泡を出しながら溶けるがブロシャン銅鉱は溶けないという差も確認できる。
 真ん中に見える晶洞の中には細かい柱状結晶がある。
 この鉱物の近くに青針銅鉱も多いという。硫酸基が共通だからだろうかね。
 画像幅約6cm

Brochantiteブロシャン銅鉱2
↑同じくブロシャン銅鉱だが、こちらは柱状結晶が球状に集合したもの。
 画像幅約2cm

黄銅鉱結晶
↑一見するとただの石英だが、右下の晶洞に注目すると。。。

黄銅鉱結晶2
↑黄銅鉱Chalcopyriteの自形結晶が! しかも、赤銅鉱cupriteか何かに置換された仮晶のようだ。
 結晶の大きさは約2mm

忍石
↑忍石 三川鉱山ではたくさん見つかる。
 ただし、酸化マンガンによるものではなく、黒銅鉱tenoriteなどの銅の酸化物によるものであるらしい。

忍石2
↑忍石その2

謎の銅二次鉱物
↑謎の二次鉱物 緑色の部分は色から見てブロシャン銅鉱であると考えられるが水色~白色の部分が???
 希塩酸(サンポール洗剤)には泡を出して溶けたことから炭酸塩鉱物である。
 色からすると炭酸青針銅鉱の皮膜のようにも思えるが、
 その他に水亜鉛銅鉱Aurichalcite、菱亜鉛鉱Smithsoniteなども考えられる。
 また、白色のよくわからない銅の二次鉱物は調べてみると、
 意外にも孔雀石であることもままあるとK標本店の社長さんが言っていました。

◆鉛の二次鉱物
 
白鉛鉱
↑白鉛鉱Cerussiteの板状結晶が双晶になってできた塊。 PbCO3
 方鉛鉱Galena(PbS)の塊が変化してできた塊。一部に方鉛鉱も残っている。手に持つずっしりと重みを感じる。
 短波紫外線で黄色く蛍光する。
 画像幅約15cm

白鉛鉱2
↑上の白鉛鉱部分のアップ

IMG_0640.jpg
↑放射状に結晶したブロシャン銅鉱上の白鉛鉱の結晶。画像幅約2cm
 よく見ると、両錐体結晶が双晶して歯車状になっている。
 また、茶色い母岩部分には1mm前後の白鉛鉱の細長い板状結晶が付いている。
 ともに短波紫外線で黄色く蛍光する。
 

硫酸鉛鉱
↑硫酸鉛鉱Angresite(だと思う) PbSO4
 石英中の方鉛鉱の周りにやや光沢の強い灰色の鉱物ができている。
 総量がそれほど多くないため、先ほど紹介した白鉛鉱の塊とは違って重みを感じることはない。
 これも短波紫外線で黄色く蛍光する。

硫酸鉛鉱2
↑上のと同じようなタイプの硫酸鉛鉱(と思われる鉱物…)
 例によって黄色い蛍光を示す。

硫酸鉛鉱3
↑上の写真の石のアップ 
 年輪状に成長している様子がわかる。



◆鉄の二次鉱物

菱鉄鉱
↑菱鉄鉱Sideriteの結晶 FeCO3 
 ……もしかしたらアンケル石、あるいは苦灰石かもしれないが肉眼ではわからない。
 透明感のある茶色で炒めた玉ねぎのよう笑
 右側のものは菱形の自形結晶を示し、左側のものは半球状に集合している。
 このような石は三川鉱山ではたくさん見られる。
 画像幅約15cm

菱鉄鉱2
↑左側の菱鉄鉱のアップ

菱鉄鉱3
↑右側の菱鉄鉱のアップ

針鉄鉱皮膜
↑菱鉄鉱の球状集合の表面を黒色金属光沢の針鉄鉱Goethiteが覆っている物。FeO(OH)
 針鉄鉱が剥げた部分から中に菱鉄鉱があることが見える。
 もちろん、これも上の標本たち同様、菱鉄鉱ではなくアンケル石かもしれないが…
 画像幅約5cm

ビーバー石?
↑ビーバー石Beaveriteだと思われる黄色粉状の二次鉱物。Pb(Cu,Fe,Al)3(SO4)2(OH)6 画像幅約4cm
 多くの場合、ビーバー石は細かい結晶のためキラキラして見えるとあるが、
 この石はそんなことはないということが気がかり。。。



◆その他

Amethyst紫水晶
↑紫水晶Ametyst 三川鉱山では一応こんな物も採れる。画像幅約6cm

アロフェン
↑アロフェン Al2SiO5・H2O
 鉱脈周辺の粘土化した部分から産したと思われる。画像幅約10cm
 白色葡萄状集合で、ハロイ石と同じグループの粘土鉱物であることから吸湿性があり舐めると舌を吸い付ける。
 薄桃色のモンモリロン石や灰青色の含銅アロフェンも伴っている。

カラミン?
↑異極鉱Hemimorphite? Zn4Si2O7(OH)2・H2O 画像幅約10cm
 枯草色の葡萄状集合で希塩酸(サンポール洗剤)に溶けない鉱物。
 いわゆるカラミンであろうか。

カラミン?2
↑上の石のアップ



?としてある石やその他の石でも鑑定が間違っているものがございましたら、
ご報告していただけるとありがたいですm(_ _)m



planetscope本館鉱物採集のトップへ戻る
関連記事
スポンサーサイト

« 異常震域!|Top|二次鉱物の鑑定。。。 »

コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://iwatteru.blog47.fc2.com/tb.php/116-0567e2a9

Top

HOME

Author:てるてる
沢田 輝
(@Hikaru_Sawada @IWKRterter)
planetscope blog
(館長のブログ)

東京大学広域科学専攻D2(駒場キャンパス)
博士課程より、東京工業大学地球惑星科学専攻から移籍しました。
地球惑星科学のなかでも、大陸地殻の成長と進化などといったテーマの地質学・地球化学あたりの研究をしてます。

中学から鉱物コレクションをはじめて早くも15年くらい、鉱物学から地球科学全体へ興味が広がっていって今こうなってしまったという感じの院生です。
石の話や、大学の話、学問とか関係ない雑記も適当に書いていきます。

☆目的の記事が見つからない場合は、この下の方にある検索フォームをご利用ください。

☆FC2のブログランキングに参加しています
よかったと思っていただけたら、こちらのロゴをクリックお願いします!↓



☆planetscope TOP PAGE 
http://planet-scope.info


☆planetscopeの内容に関するご指摘等ございましたら、なるべく関連する記事のコメント欄にてお願いします。

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

この人とブロともになる

QRコード