planetscope blog

  • 2011-11-30

TPPした方が良い理由!?


  東京工業大学における学部文系授業・国際経済論の講義後、講師の経済学の先生に 「日本がTPPしたほうがいい理由」を問いただして見ました。
オットリしてて良い先生なんですよね、この人(笑) 先学期にマクロ経済学とって良い感じの授業だったので今期も引き続きとってしまいました(^^)



それで、その先生による「日本のTPPしたほうが良い理由」がコレです↓


①環太平洋でルールを造りそれに世界を徐々に取り込んでいく。
 中国とのルールづくりはアメリカの力を借りないと難しいから、ここで交渉のテーブルについて日本に有利なルール、医療や社会保障や知的財産権などについて、を作っていくように努力する。

②アメリカがTPPでブロック経済化を狙っているかもしれないので、日本はTPP交渉でそれを阻止する役割が持てる。 もし、どうしても飲めない要求があれば、テーブルから自ら席を外し、国際社会に対してなぜテーブルから外れたのか、まっとうな理由を説明すれば良い。

③企業の世界進出を支援できるように、海外との取引の制度の簡略化などを推し進める。知的財産の開示要求などに対して、大企業は自前で弁護士でも何でも雇って対応することができるが、中小企業はそれは極めて困難。この機会に成長力のある中小企業が世界進出を出きる基板を作るべき。

④農協やバラマキ行政をいったんぶち壊して農政改革ができる。グダらないように国際的にコミットする効果がある。日本の農家の平均年齢は66歳で、しかも兼業農家が9割で、地代稼ぎのために耕作放棄地を保有していてその面積は埼玉に匹敵する。日本の農業は、どうせこのままでは自然死するから、サドンデスで改革したほうが良い。

⑤農業が続けられなくなる農家、本当に農業をしたいがの人には税金で補償すれば良い。高い食品を国民に買わせて農家を支えるのは、食費が支出割合の多くを占める低所得者の負担が大きくなる。税金で農家の人々を支えたほうが高所得者の負担割合が増えて平等性が増す。


・・・とTPPによるバラ色の未来を描いてくれましたw
経済学の人って怖いですね(汗)先にも書いたとおり、本当におっとりした良い先生なんだけど、ああやって目の前で語られると信じたくなってしまうw それでも、脳内アラートが濃い目のオレンジに光りましたw


なんかヘンだろ、と。


とりあえず、以下は思いつく限りの反論。


・そもそも、日本にそんな交渉力があるのか、野田総理にはそんな交渉をやってのける自身と根拠があるのか?経団連とつるんで輸出するだ利益上げるだ言ってたり、古い親米保守の地裁学のみの視点から環太平洋でアメリカときたら乗るしかないだろ!、みたいな態度からはとてもじゃないがうまく出来るとは思えない。
 
・交渉のテーブルに付くということは、国際常識上は参加を前提にされており、後から抜けることは極めて困難。 日本のような工業製品を売って儲けていて自国農業が苦しい、という立場の国はTPP参加国にはない。アメリカはGDP規模からも数の面での根回しでも日本に降りな要求をしてくる可能性は高い。

・アメリカは国是として輸出倍増戦略を掲げているのであり、オバマ大統領自身もアメリカを輸出先として当てにしてはならないと明言している。TPPで関税撤廃や制度改革をしても日本企業の輸出状況が大きく改善するとは思えない。他分野でのダメージ可能性も大きいTPPではなく他の手段での解決や改善、中小企業の経営支援などを図るべきである。

・農協などの農村コミュニティーの制度や雰囲気は、、農業の新規参入に弊害になっている面も多いのも事実かもしれないが、それをサドンデス的なTPPで解決することは好ましくない。世代交代や技術伝達も含めてソフトランディングできる仕組みを国内で整える方向で努力すべきである。

・アメリカの半砂漠地帯で大規模農業をやって安い作物ができるというのは、砂漠化進行という自然からの搾取によって成り立っているにほかならない。日本のような温帯湿潤地帯で農業生産を行わないのは将来の世代の環境負担を増大させる。

・日本といえども、一度耕作放棄してしまえば荒地、草地、遂には森林にまで戻ってしまい、そこを最開梱するのには多大なコストが掛かり将来事情が変化して日本で農業を再開したくなっても再開することは極めて困難になる。


mixiで記事を立てたところ、私の友人もコメントをくれましたが、

「う~ん、まあこの先生のいうことも一理あるかもしれんが、そう簡単に思惑通りになるとは思えんわな・・・。
だいたい、アメリカとガチでやって日本が外交で勝てるわけがない。
向こうには沖縄の基地問題とか核の傘の問題など手持ちのカードがたくさんあるが、こちらにはアメリカに対して切れるカードがない。
交渉で行き詰ればアメリカは必ずカードをちらつかせる。そのカードのビビらずに自国の利益になる主張を日本は果たしていえるだろうか?
対アメリカで交渉する際に、日本と同じ国益を持つ国がいまのTPP参加国に果たしているのか?いなければ、アメリカの要求に対して、日本は一国で対抗しなくてはばらない。
吉田茂や重光葵バリの外交手腕をもつ政治家がいまの日本にいるとは思えない。
絶対に負けて、アメリカのいいカモにされておわり・・・。
後から中国やらロシアやら入ってくるとは思えない。
むしろ中露印あたりでTPPに対抗した独自の経済同盟圏を作りかねない…」

と同じように不安を感じ取ってくれたようです。

私としましては、政治経済の話以前に、環境問題の観点から農業に関する自由貿易には断固反対なのですが、それを抜きにして考えても経済学の考える理想状態に現実がついていくのは経験的にほとんど不可能でしょう。TPPはけいざいというよりも、地政学のつながりの臭いが強くなっていますが、やはり日本の国益には程遠いと言わざるを得ませんし、世界の発展にもマイナス影響が大きいでしょう。
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沢田 輝
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東京大学広域科学専攻D2(駒場キャンパス)
博士課程より、東京工業大学地球惑星科学専攻から移籍しました。
地球惑星科学のなかでも、大陸地殻の成長と進化などといったテーマの地質学・地球化学あたりの研究をしてます。

中学から鉱物コレクションをはじめて早くも15年くらい、鉱物学から地球科学全体へ興味が広がっていって今こうなってしまったという感じの院生です。
石の話や、大学の話、学問とか関係ない雑記も適当に書いていきます。

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