planetscope blog

  • 2011-12-03

秩父鉱山六助沢での採集


  2011年11月26日、Sさんに秩父鉱山の六助沢を案内して頂きました。11月も末になると、秩父市内でもそこらじゅう一面に霜が降りていて、朝9時頃着いたこまどり荘では気温1℃、明け方の最低気温は-5℃位まで冷え込んでいたそうです。それでも、この時期は広葉樹の葉が散っているので日が出ていれば歩いているうちに暖かさも感じるくらいでした。むしろ夏のアブに追い回される採集より快適だったといえるかもしれません。

枯れ木の大黒沢
↑六助沢に向かう途中、大黒沢を眺める。前回の秩父鉱山の採集は9月11日に大黒沢に行きましたが、まだはも緑色でした。この日は紅葉も取り越して枯れ木になってましたね。もう11月は冬です。


六助沢1
↑六助沢への道中


六助沢2
↑六助沢への道中2 日が出ていれば、冬でも暖かい。


六助沢3
↑沢の途中の至る所にズリや坑口がある。
このズリで、磁硫鉄鉱仮晶の黄鉄鉱を採集できました。
秩父鉱山六助の磁硫鉄鉱仮晶の黄鉄鉱
↑磁硫鉄鉱仮晶の黄鉄鉱。六角板状の結晶が縦に生えているのが分かる。
このようなタイプの黄鉄鉱は、秩父鉱山では現役稼動時のものをしばしば見ていました。硫化物でガサガサしているので風化などで壊れやすいのかと思ってましたが、まだ採集できるみたいですね。
秩父鉱山大黒の磁硫鉄鉱仮晶の黄鉄鉱
↑こちらは購入品ですが、大黒の磁硫鉄鉱仮晶の黄鉄鉱です。鉱山か同時に採集された標本だそうで、さすが、六角板状が綺麗に見えますし、黄鉄鉱の光沢も良いです。


六助沢4
↑六助沢の上部の様子。ここで立派な輝安鉱が採れた!
以下、その標本の画像です!
秩父鉱山六助の輝安鉱1
秩父鉱山六助の輝安鉱2
秩父鉱山六助の輝安鉱3
秩父鉱山六助の輝安鉱4
条線もはっきりした結晶がサクサクとできている。表面は錆や泥の影響で少しくすんでいるが、中身は新鮮な煌きを保っています。まさか、こんな立派な輝安鉱が採れるとは思ってなかった!
噂によると、この近くにアンチモニーの貯鉱場があったそうです。そこからこの沢筋に流れてきたものでしょうか。これだけ立派なものがあるということは、他にもまだアンチモン鉱物が採れることが期待できそうです!


六助沢5
↑六助沢に設置されている水酸化ナトリウムのタンク。鉱石の影響で強い酸性になっている沢の水を中和している。


六助沢6
↑中和によって白濁する沢の水。硫酸ナトリウムか何かができているのだろうか


六助沢7
↑さらに沢を登る。


六助沢8 バスタム石Bustamite
↑バスタム石Bustamiteのポイント。写真に写っている黒い塊は全てマンガン鉱物。良質なバスタム石がたくさん採れます。ここではヨハンセン輝石は少ないみたい。


六助沢9 バスタム石Bustamite
↑割り立て新鮮なバスタム石。綺麗なピンク色とスジスジした結晶の放射状集合が特徴。茶色の部分はバスタム石のMnがFeに一部置き換わっている鉄バスタム石。きれいなピンクは空気中の酸素により変色してしまう…


六助沢10
↑さらに沢登。坑口がいたるところにあったり、沢が酸化鉄の赤褐色でべっとりだったり、いかにも鉱山跡ですね


六助沢11
↑上の写真の坑口の中の様子。


六助沢13
↑坑口から更に登ると、ツララが!


六助沢14
↑立派なツララ。鉱物学的には、いちおう水という鉱物の結晶です。表面にはデンドリマー様の模様があって、成長の仕方が気になるところ。


六助沢15
↑更に登って行くとそこには立派な石垣が沢山あらわれた!謎の古代遺跡、ではなく、鉱山の近代遺跡ですw


六助沢16 ビール瓶
↑鉱山が稼働していた当時のビール瓶が捨てられている。
六助沢17 ビール瓶
↑「キリンビール」が右から書かれている。戦前のビール瓶!


六助沢18 共同浴場跡
↑ほんとうにそこら中に石垣があって、こんな奥地に数十年の昔は鉱山村があったのかと思うと驚きです。これは共同浴場跡でボイラーがサビサビになって残っている。
それにしても、数十年経つと人の暮らしていた場所もこうやって植物に飲み込まれていくのかと思うと、文明というのは儚いものだと感じますね…


六助沢19
↑また坑口。


六助沢20
↑今度の坑口は中が赤くない。場所によって成分の違いがある。


六助沢21 貯鉱場
↑最後に貯鉱場跡に寄る。ここではほとんどが黄鉄鉱や磁鉄鉱ばかり。


秩父鉱山六助貯鉱場の黄鉄鉱
↑黄鉄鉱ばかりといっても、粒はなかなか大きいし、結晶の形も比較的綺麗なものが多い。この標本は黄鉄鉱の六面体結晶が微細な閃亜鉛鉱に埋まっているもの。黄鉄鉱は十二面体結晶も見られた。また、閃亜鉛鉱のやや結晶面の明らかなもので、一部が緑色透明感を帯びているものもあった。


六助沢22
↑貯鉱場から六助沢の山を望む。もう日暮れも近く冷えてきた。


六助沢23
↑六助の門まで戻って来ました。クルマまで戻ったのは17時くらい、すっかり真っ暗になってました。この時期は日が短いので気を付けなければいけませんね。
こまどり荘にお手洗など借りに寄りましたが、冬の乾いた空、星が綺麗にでした。


六助沢でおそらく2011年の採集納めになるかと思いますが、発見の多い有意義な採集になってとてもよかったです!
2011年はたくさんの採集に行くことが出来ました。案内していただいた方々に感謝です。
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コメント

すばらしい!

同行者です。
輝安鉱、実にすばらしいです!!
六助に何度も登っていながらこんな立派な輝安鉱にはお目にかかったことないです・・・。
正直あの沢は何度か登っていますが、ちゃんと調査したことはありませんでした。あそこより上部は以前ちょっと見たことはあったが、方鉛鉱ぐらいしか採れなかったから、すっかりナメてました。
正直くやしい・・・www
今年中にリベンジしようかと密かに思っていたりする・・・www

同行者さんへ

ぜひともアンチモンスポットを探しましょう!
それにしても、今年中とは行動が早いですね…w 

ちなみに、K標本店の社長とお話ししたのですが、道伸窪から坑道を通って六助に行ったそうです。アセチレンランプのヘッドライトを付けて、5mおきに130mもはしごを登らされたとおっしゃってましたw

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沢田 輝
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東京大学広域科学専攻D2(駒場キャンパス)
博士課程より、東京工業大学地球惑星科学専攻から移籍しました。
地球惑星科学のなかでも、大陸地殻の成長と進化などといったテーマの地質学・地球化学あたりの研究をしてます。

中学から鉱物コレクションをはじめて早くも15年くらい、鉱物学から地球科学全体へ興味が広がっていって今こうなってしまったという感じの院生です。
石の話や、大学の話、学問とか関係ない雑記も適当に書いていきます。

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