planetscope blog

  • 2011-10-03

丹沢巡検


  2011年10月1日~2日、大学の巡検で丹沢に1泊2日で行きましたので、その時の様子をすこし。
丹沢地質見学コース
主に、玄武岩が花崗閃緑岩により接触変成を受けている様子と、神縄断層に区切られて足柄層群の礫岩などが現れる様子を見学しました。
丹沢は、いろいろな地質現象の様子を見ることが出来る場所であるが、特に、プレート境界が地上に現れている部分として神縄断層があり、地球科学的に注目されている場所である。神縄断層は、東側に続く国府津-松田断層などとあわせて、海洋プレートであるフィリピン海プレートが大陸プレートであるユーラシアプレートに沈み込んでいるプレート収束帯が陸上に現れている部分である。通常はこのようなプレート収束帯は海溝やトラフとして海底に現れるが、フィリピン海プレート上の伊豆ブロックが本州に衝突することにより丹沢近辺では神縄断層として陸上に現れている。
一方で、鉱物マニアとしては、丹沢といえば接触変成によるスカルン鉱物や、パンニングすると意外とたくさん柘榴石の綺麗な砂鉱が採れるとかいう鉱物採集の話が出ますが、今回はそういうお楽しみ話です(^^;)
丹沢は地球科学的にも鉱物趣味的にも奥深いところですので、またぜひ訪れてみたい場所ですね。



丹沢A_2ゼオライト?入り玄武岩
A地点付近に宿泊しましたが、その近辺ではほとんど石英閃緑岩による熱変成を受けていないと考えられる玄武岩が見られました。空壁には若干のゼオライトのような鉱物も見られました。


また、B地点にも殆ど未変成の玄武岩や安山岩が見られました。


丹沢C_緑色岩
C地点にまで北上すると、やや熱変性の度合いが強まり、緑色岩になります。あまり片状構造は発達していません。
丹沢C_緑色岩2
↑C地点の緑色岩露頭。ちょっとピンぼけ過ぎた…
丹沢C_緑色岩サンプル
↑C地点で採集した緑色岩のサンプル


丹沢D_緑色片岩1
↑D地点まで来ると、緑色片岩といえるくらいに片理構造が発達する。
この河原一帯に層状の片理構造が明確な緑色片岩が見られます。緑色の濃い部分と薄い部分が見られる。
肉眼で確認できる鉱物は石英、斜長石が白色の脈を作っているほかは、余り明確な鉱物粒は見られなかった。繊維状結晶のように見える部分があり、緑色の濃いものは緑閃石Actinolite、色の薄いもの透閃石Tremoliteであると思われる。その他、黄緑色の粒の明確でない緑れん石Epidoteであると思われる。
結晶片岩というと、三波川変成帯のような低温高圧型の変成帯をイメージしてしまうが、緑色片岩はそういった変成帯よりも低温低圧でも生じ、また逆に石英閃緑岩のマグマ貫入によって圧力もそれなりに上昇するため片理構造が見られるようにもなるようだ。
丹沢D_緑色片岩2
↑この写真もD地点あたり。このへんは温泉街として観光地になっている。
丹沢D_緑色片岩サンプル
↑採集した緑色片岩のサンプル


丹沢E_角閃岩
↑地点Eの砂防ダム付近の角閃岩の露頭。E地点付近では石英閃緑岩と角閃岩の境界が見られる。これくらい高温になると、緑泥石や緑簾石といった緑系の鉱物はできず、黒い角閃石になるようだ。
角閃岩には片理構造と言えるものはなかったが、肉眼で容易に確認できるような層状の構造は見られた。石英閃緑岩に近いことからより高温で形成されたことから、圧力による片理構造の形成よりも高温による鉱物再結晶作用の方が強く働き層状の構造が薄れたのかもしれない。また、石英閃緑岩と角閃岩の境界は複数箇所で複雑に噛みあうように見られた。角閃岩の一部をブロック状に割り砕いたり、融かし込んだりしながら石英閃緑岩の貫入が行われたと考えられる。
丹沢E_角閃岩サンプル
↑上の写真の露頭で採集した角閃岩のサンプル。
丹沢E_角閃岩高変性粗粒サンプル
↑上の写真の露頭よりもさらに石英閃緑岩側に近い所で採集した角閃岩。より粗粒になっていることが分かる。


接触変成岩見学のあとは、足柄層群の堆積岩見学。
足柄層群1
↑F地点河原の足柄層群の礫岩露頭の様子。上に数人の人がいるのでスケールの参考にしてください。
足柄層群_生痕化石
↑足柄層群の中には貝殻化石の濃集しているところや、生痕化石なども見られる。
足柄層群_級化成層_断層
↑級化成層も見られる。礫岩から砂岩、シルト岩くらいまでが互層している。さらに、細かい断層が沢山走っており、層が分断されている。



ここで、せっかくなので丹沢山地の地質形成史について書いておきます。課題レポートの流用ですが笑


(1)丹沢層群の変成岩の原岩となる玄武岩の噴出 
(2)花崗岩の貫入と接触変成作用 
(3)伊豆ブロックの衝突 
(4)足柄層群の礫岩の堆積 
(5)神縄断層の形成 


(1) 現在の伊豆・小笠原弧のように太平洋プレートがフィリピン海プレートに沈み込む海洋プレート同士の収束帯での火山活動により丹沢層群の変成岩の原岩となる玄武岩が噴出した。現在のフィリピン海プレートの北向の動きを逆算することと、丹沢でサンゴ化石などを含む石灰岩が産する*[1]ことから丹沢層群の玄武岩は南方の温暖な地域で形成されたと分かる。
(2) 玄武岩の火山島地下に花崗岩質のマグマが貫入したことにより接触変成作用が起こった。マグマ貫入によるストレスによって変成岩の中には緑色片岩のように片理構造を持つものができた。 
(3) 丹沢ブロックが本州に衝突し、丹沢ブロックが乗っていたフィリピン海プレートのスラブが丹沢ブロックと本州の間の陸上に現れた後、丹沢の南側に海溝が移動し新たにフィリピン海プレートの沈み込みが開始し、古いスラブは切り離された。これにより丹沢ブロックは本州に対する相対運動を停止、すなわち丹沢ブロックが本州の一部になった。
(4) 丹沢ブロックの南側に位置する伊豆ブロックはフィリピン海プレートの移動と共に北上し、本州の一部となった丹沢ブロックと衝突し、それによって丹沢地域が隆起と侵食を繰り返し、大量の礫が発生して丹沢ブロックと伊豆ブロックの間の海に足柄層群となる礫が堆積した。礫岩が海で堆積したことは足柄層群の堆積岩に大量の貝殻や生痕化石が含まれることからわかる。また、侵食が進むに連れて礫種は玄武岩、安山岩などの火山岩→やや変成を受けた緑色岩→強い変成を受けた角閃岩や花崗岩へ、と移り変わっていった。
(5) さらに伊豆ブロックが北上することにより、丹沢と伊豆ブロックの間は隆起と礫岩の堆積により完全に陸地となり、プレート境界は神縄断層などとして地上で見られるようになった。足柄層群の礫岩は伊豆半島の衝突により北落ちの傾斜を持つようになった。傾斜はF地点で北側に40~60°程度であった。


[1] 門田真人・三澤良文(2005):丹沢山地より産出する中新世八放サンゴ亜綱Heliopora coerulea(Pallas)アオサンゴ化石について、「海―自然と文化」東海大学紀要海洋学部 第3巻第3号 51-59頁



というわけで、また何度か丹沢には行ってみたいです(^ω^)
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沢田 輝
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東京大学広域科学専攻D2(駒場キャンパス)
博士課程より、東京工業大学地球惑星科学専攻から移籍しました。
地球惑星科学のなかでも、大陸地殻の成長と進化などといったテーマの地質学・地球化学あたりの研究をしてます。

中学から鉱物コレクションをはじめて早くも15年くらい、鉱物学から地球科学全体へ興味が広がっていって今こうなってしまったという感じの院生です。
石の話や、大学の話、学問とか関係ない雑記も適当に書いていきます。

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