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  • 2012-02-16

煙水晶Smoky Quartz & 黒水晶Morion


  以前、色つきの石英Quartzとして、紫水晶アメジストAmethystについての記事を書きましたが、今回は煙水晶・黒水晶についてです。
煙水晶Smoky Quartzは灰色程度で、黒水晶Morionは更に黒色が濃くなったもの、というのが一般的な説明ですが、宝飾業界では細かいことをもっといろいろと言うみたいです。煙水晶も黒水晶も、光を透過させると茶色を帯びて見える特徴があります。
鉱物学的には、石英が灰色~黒色に色がつくのは、珪素の一部がアルミニウムに置き換わったことによる格子欠陥に加えて、周囲の鉱物の放射線が照射されることによってカラーセンターが出来て発色するようです。アルミニウムによる置換と放射線の照射、どちらもが加わらないと煙水晶や黒水晶にはならないようです。煙→黒への色の濃さの変化は、アルミニウムによる置換が増えるからなのか、放射線量が増えるからなのか、そのどちらもなのか、などの定量的なことは、私には未だよくわかりません。
定性的には、煙水晶・黒水晶が花崗岩質ペグマタイトでよく見つかること、堆積岩中の熱水脈・熱水鉱床や中間質~苦鉄質火山岩に伴った熱水鉱床などにおける石英、水晶は灰色や黒色を帯びていることが少ないこと、などを考えると、だいたい合っている気がします。通常の花崗岩でも、石英は灰色になっていることが多く、中間質の岩石などでは透明や白濁が多いですね。
ところで、紫水晶アメシストAmethystは二価鉄イオンFe2+が珪素の一部を置換して出来ると言われていますが、こちらは玄武岩や安山岩などの活動に伴った熱水脈によく出ます。すると、紫水晶の発色の原因となるカラーセンターには、放射線は黒水晶ほどは必要とされていないということなのでしょうかね?
さらに、人工的にコバルト60のガンマ線をアメリカアーカンソー州の水晶に当てることで黒色を発色させた「人工モリオン」がパワーストーン系の店を中心に売られていますが、あれが放射線だけであそこまで黒色が発色するということは透明な水晶にもそれなりにアルミニウムによる格子欠陥が含まれている、ということなのでしょうかね?それとも人工的に天然よりもずっと強い放射線を当てると、アルミニウムが少ししか入っていなくても発色できるのでしょうか?
カラーセンターの原因については、厳密な話は量子化学をもっともっと勉強しないとよくわからないので、このくらいの解説でご容赦ください。より詳しい方、追加・訂正のコメントをよろしくお願いしますm(_ _)m


では、手持ちの標本を数点、紹介させて頂きます。


岐阜田原の黒水晶Morion1
↑岐阜県蛭川村田原の黒水晶Morion&カリ長石K-feldspar 標本幅約10cm
つやつやした黒色の水晶とクリーム色の長石が堪らないペグマタイトの1品!さすが、日本3大ペグマタイト産地ですね。前述のとおり、黒水晶になるにはアルミニウムによる置換が必要になるので、沢山の長石を伴うような産状であるペグマタイトでは黒水晶になりやすいとも考えられます。


岐阜田原の黒水晶Morion2
↑岐阜県蛭川村田原の黒水晶Morion 平行連晶parallel growthになっている。結晶の長さ約6cm
これも好きな標本の1つです。裏側には玉滴石がついていて蛍光します。

 
岐阜田原の曹長石Albite上の煙水晶1
↑こちらも岐阜県蛭川村田原の煙水晶。白いフジツボのように張り付いているのが曹長石Albiteで、こっちをメインにして購入したのですが、今回は煙水晶に注目。こちらは色が薄いですね。


岐阜田原の曹長石Albite上の煙水晶2
↑よく見ると、内側のほうが色が濃くて、外側はほとんど透明です。標本や産地によっては、外側のほうが黒くて内側が白っぽいものもあるので、一概に晶出のどの時期に黒くなりやすいかはわかりません。
さらにこの煙水晶、曹長石と噛み合うことで頭が割れています。すると、曹長石と同じくらいの時期に晶出したことになりますね。


山の尾の板状煙水晶1
↑続いて変わり種。こちらもかの有名なペグマタイト産地である茨城県真壁町山の尾の煙水晶です。ベテランコレクターの方から頂きました。
ここ山の尾ではこのような板状、というか小判状、の煙水晶がいくらか出ているそうです。標本幅約8cm


山の尾の板状煙水晶2
↑上の標本の裏側。条線がよく見える。


山の尾の板状煙水晶3
↑端を見ると、両端ともに頭があり、さらに平行連晶になっている。
「小さい面ほど成長が早かった」の法則に従うと、両端の頭が最も成長が早く、さらに6つの側面のうち4つが早く2つが遅かったことになりますが、どのような環境でこのような成長ができるのでしょうか?
よくある平板状の日本式双晶の産地では、狭い脈を熱水が流れていたせいで平板状になったという話も聞きますが、この小判状の煙水晶も同じように細い脈の熱水の流れの中でできたのでしょうか?


山の尾の板状煙水晶4
↑同じく山の尾の板状の煙水晶。こちらは破片で小さいです。標本幅約3cm


山の尾の煙水晶
↑これも山の尾の煙水晶ですが、小判状煙水晶だけでなく普通の形をしたものも出ます。標本幅約6cm


中国の満礬柘榴石を伴う煙水晶
↑最後に中国福建省の満礬柘榴石spessartineをともなう煙水晶。そういえば、海外の煙水晶、黒水晶はほとんど持っていないなぁ、というか産地が偏っているなぁ、とこの記事を書いていてて思いました。標本屋さんで見かけないわけではないんですけどね…




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沢田 輝
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東京大学広域科学専攻D2(駒場キャンパス)
博士課程より、東京工業大学地球惑星科学専攻から移籍しました。
地球惑星科学のなかでも、大陸地殻の成長と進化などといったテーマの地質学・地球化学あたりの研究をしてます。

中学から鉱物コレクションをはじめて早くも15年くらい、鉱物学から地球科学全体へ興味が広がっていって今こうなってしまったという感じの院生です。
石の話や、大学の話、学問とか関係ない雑記も適当に書いていきます。

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