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  • 2014-05-27

角閃石とかの化学式にあるシカクい□ってんなんだ?? -鉱物結晶と空所構造


  角閃石の化学組成を調べていると、中には四角"□"であらわされたものが含まれていることがあります。

 ~~~(□,~)~~

みたいな感じのものです。具体例を見てみると、普通角閃石Hornblendeは
  (□,Na)(Ca,Na)2(Mg,Fe2+,Al,Fe3+)5[(OH)2|AlSi7O22]
と表されます。
このような鉱物化学式中の四角形□は空所構造Vacant-sited structureと呼ばれる結晶構造です。広く解説が出回っている結晶構造の欠陥である空所欠陥Vacancy defectsは結晶の構造欠陥ですが、この角閃石などの鉱物に見られる空所構造Vacant-sited structureは少し異なるものとなっています。
空位構造Vacant-sited structure□は、化学組成が複雑な鉱物(特に珪酸塩鉱物)に多く見られ、低位原子価の成分と置換関係を持ちます。より簡単に言うと、1価の陽イオンとの置換関係を持ちます。具体的には、Na+, K+, NH4+, Rb+, Cs+などが挙げられます。
さらに、観察傾向として、配位数が大きいサイトほど、この空所構造との置換関係をよく示します。多くの鉱物において、配位数は殆どの場合酸素との結合数と同じ意味を持ちます。
角閃石は化学組成、結晶構造の複雑な鉱物の代表格であるイノ珪酸塩鉱物ですが、他にはサイクロ珪酸塩鉱物である電気石や大隅石のグループにも、この空所構造Vacant-sited structureが見られます。

・Osumilite-(Mg) 苦土大隅石:
  (K,□)(Mg,Fe2+)2(Al,Fe3+)3[(Si,Al)12O30]

・Dravite 苦土電気石:
  (Na,□)(Mg,Fe2+,Al)3(Al,Fe3+)6[(OH,F)|(OH)3|(BO3)3|Si6O18]

・Magnesiofoitite苦土フォイト電気石の場合にはもう少し事情は複雑で、理想式は
  Mg2AlAl6[(OH)|(OH)3|(BO3)3|Si6O18]
であるが、実際には、先頭を空所構造とみなして、
  □Mg2AlAl6[(OH)|(OH)3|(BO3)3|Si6O18]
となり、さらにこれがNa+と置換し、1番目のAlがMgと置換することでチャージバランスを取りつつ、
  (□,Na)Mg2(Al,Mg)Al6[(OH)|(OH)3|(BO3)3|Si6O18]
となっていることが多い。

以上、空所構造Vacant-sited structureの解説でした。2013年9月の無名会例会でのミニレクチャーのノートを整理したものです。
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沢田 輝
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東京大学広域科学専攻D2(駒場キャンパス)
博士課程より、東京工業大学地球惑星科学専攻から移籍しました。
地球惑星科学のなかでも、大陸地殻の成長と進化などといったテーマの地質学・地球化学あたりの研究をしてます。

中学から鉱物コレクションをはじめて早くも15年くらい、鉱物学から地球科学全体へ興味が広がっていって今こうなってしまったという感じの院生です。
石の話や、大学の話、学問とか関係ない雑記も適当に書いていきます。

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