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  • 2010-08-09

紫水晶-アメシストの成因について


  紫水晶と漢字表記するとあまり伝わらないかもしれませんが、アメシストとカタカナでいえば、宝石のことだと多くの方が分かってくれるでしょう。
アメシストは2月の誕生石にもなっている宝石です。今回はこのアメシストについて、自然科学的に見てみましょう。



ところで、何気なくテーマを「アメシスト」と書きましたが、一般には「アメジスト」と呼ばれていることも多いようですね。
「シ」か「ジ」か、どちらが正しいのでしょうか?

英語表記では、amethystであり辞書の発音記号は[θ]となっていますから、「アメシスト」のほうが正しいようですね。
より正しく発音したい方は、下を歯に挟んで「th」の発音をしてください。
この記事では「アメシスト」に統一したいと思いますが、とりあえずはどちらでも通じるのでそこまで厳密になる必要もないでしょう。



◆アメシストはなぜ紫色なのか
アメシストは日本語では紫水晶と言いますが、その名の通り、通常は無色である水晶が、紫色になるとアメシストと呼ばれるのです。



二酸化ケイ素(SiO2)からなる鉱物の石英が、肉眼的に見えるサイズの結晶になったものを特に水晶と呼んでいるのですが、紫になるのは水晶だけでなく、塊の石英である場合もあるため、そのようなときは紫石英などと言われることもあります。



石英や水晶が紫色のアメシストになるのは、二酸化ケイ素に含まれるケイ素のごく一部が2価の鉄イオン(Fe2+)に置き換わっているからだと言われています。



要するに、石英に不純物として鉄が含まれると紫色のアメシストになるというわけです。



普通は無色の鉱物に色がつくときにはこのような微量な不純物によることが多いものです。例えば、宝石として有名なルビーとサファイアはどちらもコランダムという酸化アルミニウムの鉱物に



不純物として、アルミニウムの代わりにルビーにはクロムが、サファイアには鉄やチタンが1%ほど入ったためあのような色がつくのです。



もう1つ例をあげると、アクアマリンとエメラルドも同じベリル(緑柱石)という鉱物に不純物が入ったものです。
緑柱石は不純物によっては、赤やピンク、黄色などの色になることもあります。



石英についても、紫以外にも黒やピンクになるものがあります。
黒はアルミニウムによるもので、色が薄いと煙水晶、濃いと黒水晶と呼ばれます。
ピンクについては紅水晶と呼ばれていますが、発色の原因は諸説あり未だ分かっていないようです。



『不純物として混入している微量のチタン、鉄、マンガンに由来するとされる。 近年のX線元素分析では、この色は光学顕微鏡で観察可能なレベルの デュモルチエライトの繊維によるという結果も出ている。しかしながら、デュモルチエライトは単独の結晶としては滅多に産出しないもので、 従って呈色はリン酸塩やアルミニウムによると考える意見もある』



以上、http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%85%E6%B0%B4%E6%99%B6より



このように、不純物が入ると色がつくのは、不純物によって結晶構造の一部が乱れ、透過する光のうち特定の波長が吸収されてしまうためです。



さて、アメシストに話を戻しましょう。繰り返しになりますが、アメシストが紫色なのは不純物として2価の鉄イオンによるものですが、どのような時に鉄が不純物として水晶に入ってくるのでしょうか?



◆アメシストの産状
販売されている多くのアメシストが緑色っぽい岩からアメシストがザクザクしています(個人的にはスイカと呼んでます)。



これはブラジル産のアメシストで、ブラジルは世界で最もたくさんアメシストを産出しています。



この「スイカタイプ」のアメシスト標本は大きな晶洞を割って作られたものです。



割る前の晶洞が大きな置き石のような飾りになって数十万円くらいで売られているのを見たことがある人もいるでしょう。



PAP_0064_20100809170507.jpg
↑人の身長くらいあるアメシスト晶洞 コムロミネラルズ標本店にて



このようなブラジルの晶洞は玄武岩の中のパイプ状の空洞にできたものです。スイカの皮の部分に当たる緑色の石は玄武岩なのです。



玄武岩は火山岩のうち、鉄やマグネシウムに富む有色鉱物が多い塩基性岩と言われる部類に入る岩石です。
玄武岩質の溶岩は、溶岩の中でも安山岩質流紋岩質のものと比べると、高温で粘り気の低いサラサラで流れやすい性質を持っています。



ハワイの火山で溶岩の流れる様子を動画で見たことのある人は想像しやすいかもしれません。



そのような高温、サラサラの溶岩が地表を流れると外側は素早く冷やされて固まりますが、中のほうはまだまだアツアツでサラサラなので、どんどん先へと流れて行ってしまいます。



すると、固まった外側の溶岩によりパイプ状の空洞が残されます。このような空洞は溶岩洞穴と呼ばれることもあり、たとえば富士山のふもとでは多くの溶岩洞穴が観光スポットにもなっています。



溶岩洞穴には、上記のような仕組み以外にも溶岩に含まれていたガス(主に水蒸気)がたまって空洞になるというパターンもあります。



ブラジルのアメシストは、そのようにしてできた玄武岩の空洞の中にシリカ(二酸化ケイ素)を含んだ熱水が浸入して晶出したものなのです。



玄武岩は鉄やマグネシウムに富む岩石ですから、おのずと浸入してきた熱水の鉄分も多くなるでしょう。このようにして、水晶に鉄分が混ざりアメシストはできるのです。



紫水晶アメシスト
↑ブラジルのアメシスト 自分のコレクションより。
 右にあるオレンジ色菱形の結晶は方解石
 このタイプのアメシスト標本にはこのような方解石が付いてることも少なくない。



ブラジル以外でも、アメシストは玄武岩や安山岩などの鉄分に富んだ岩石の隙間にできるシリカ脈に多く見つかります。
日本国内でも宮城県雨塚山や、栃木県足尾などがアメシストの有名産地ですが、そのような条件に当てはまっていると言えるでしょう。



ただ、上記の産地以外でも日本国内のアメシストは玄武岩よりも鉄に乏しい安山岩によるシリカ脈であるため、産出する品は色が薄めになっているようです。 (それはそれでほんのりとした魅力のある鉱物標本です。)



もちろん、鉄はありふれた元素なので、必ずしもそのような産状ではなくてもたとえばペグマタイトのようなところでもアメシストが出たリスつことはあります。



しかし、宝石として研磨できるような綺麗な紫になるためにはそれなりに鉄分を含んでいる必要があるので、やはりブラジルのような玄武岩の隙間がベストということになるでしょう。

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東京大学広域科学専攻D2(駒場キャンパス)
博士課程より、東京工業大学地球惑星科学専攻から移籍しました。
地球惑星科学のなかでも、大陸地殻の成長と進化などといったテーマの地質学・地球化学あたりの研究をしてます。

中学から鉱物コレクションをはじめて早くも15年くらい、鉱物学から地球科学全体へ興味が広がっていって今こうなってしまったという感じの院生です。
石の話や、大学の話、学問とか関係ない雑記も適当に書いていきます。

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