- 2010-09-14
石油は枯渇する?しない?
石油や天然ガスの起源というと、微生物の遺骸が堆積岩の中に取り込まれ、それが変成することでもともと生物であった有機物が石油になるという「有機起源説」が最も有力な仮説であるということになっています。
しかし、それに対する仮説として「石油の無機起源説」というものがあります。
地球の地下深くにはメタンなどの有機物が豊富にあり、それが石油や天然ガス、石炭の起源であるという主張です。
実際に、地下には生物とは全く関係なくメタンなどのガスが存在するのは掘削結果などから明らかにされてきていて、そればかりではなく、そういったガスをエサにして地表の生態系とは独立した
「地下生物圏」が存在することまで分かってます。
でも、そういった地下のガスが本当に石油のもとなのかは未だにはっきりとはわかってはいません。
個人的には無機起源説に大変興味を持っているのですが、石油という産業の基幹を為す物質であり、仮説によっては人類に残された石油の推定量が大きく変わってしまいますから、なかなかナーヴァスな問題であるようです。
ネットで面白いレポートをいくつか見つけたので参考までに紹介します。
JOGMEC(独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構)のサイトに載ってました。
◆『無機起源石油・天然ガスが日本を救う!? ―地球深層ガス説の新展開―』 中島敬史
http://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=200505_013a.pdf&id=609
石油の無機起源説について紹介されています。無機起源説の概論はこのレポートで大体つかめます。
◆『石油天然ガスの起源 ~無機成因説は成り立つか~』 加藤進
http://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=200511_063a.pdf&id=641
石油無機起源説の仮説としての問題点を述べています。
◆『石油の過去・現在・未来~目から鱗うろこの新資源論~』 井上正澄
http://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=200607_081e.pdf&id=679
人類に残された石油の量を推定する新しい方法を紹介しています。
純粋理学的な地球科学好きとしては、地球の中で水の他にもメタンなどの有機物の流体がかなりの量があるという仮説は、ミクロからマクロまで地球の活動に様々な影響を与えるだろうものすごく想像をかき立てられて刺激的で楽しそうに感じますが、
環境問題や資源問題などの真面目な問題を考えると石油があとどれくらいあるかにかかわらず、資源の節約が必要なことに変わりはありません。
いずれにしても、色々と興味深い視点をもたらしてくれるレポートです。
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