- 2010-09-18
ビンドハイム石 Bindheimite
埼玉県の山奥にある秩父鉱山の大黒河原で採れたビンドハイム石Bindheimiteを紹介します。
ビンドハイム石はブーランジェ鉱や毛鉱が風化してできたとされ、Pb2Sb2O6(O,OH)という化学組成を持つ酸化鉱物です。見た目にも組成的にも、輝安鉱の風化生成物である黄安華に似ています。
世界的に見て比較的珍しいものですが、秩父鉱山の大黒では現在でもしばしば採集できる鉱物です。

↑2006年9月に採集したもの。大黒の河原を降りてすぐに、
写真とほぼ同様の状態で転がっているのを見つけて採集しました。
ピンク色の菱マンガン鉱と、閃亜鉛鉱などの細かい金属鉱物の粒を含んで
灰色に見える石英からなる石の表面に、黄色い粉状~繊維状で産する。
繊維状なのは、もとのブーランジェ鉱や毛鉱の仮晶であることもあります。

↑上の標本の裏側のアップ写真 空孔の中がビンドハイム石で満たされている。

↑2010年9月に見つけたビンドハイム石
上のものよりはだいぶ小さいが、水晶の上にビンドハイム石が乗っていて
見た目が整っているため結構気に入っている標本ですd(^^)

↑上の標本のビンドハイム石部分のアップ画像
秩父鉱山でビンドハイム石を採集するには、まずは菱マンガン鉱を主体とするマンガン鉱石を探すことです。そのような石の表面は軟マンガン鉱などの二酸化マンガンになっているため、ツヤのない黒色に見えます。
秩父鉱山のマンガン鉱石には、ビンドハイム石だけでなく、繊維状のブーランジェ鉱や毛鉱、歯車状の車骨鉱などといった珍しい鉱物が付いているため、多くの人が採集してしまい、大黒河原ではマンガン鉱石を探すのさえ難しい状況になってきてしまいました。
採集されてなくなってしまったということ以外にも台風などの大雨により、良い石が下流に流されたり、河原の石の下の方に沈んでしまったりということもあります。ズリを少し掘ってみたり、広くあちこちを歩き回ってみたりすると良い石に出会えるかもしれません。
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